フランス・モンブラン山麓

標高4810mのモンブランはヨーロッパアルプスの最高峰である。
ヨーロッパ大陸の最高峰と言いたいところだが、アジアとの境にエルブルス山5642mがあるため第2位だという。
フランスとイタリアの国境線上にあり、スイス国境にも近い。


  2012年6月末からアルジャンティエールとシャモニー・モンブランにそれぞれ7泊してモンブラン山麓を歩いた。
  Montは山、Blancは白を意味し、フランス側から見るモンブランは御椀に雪を被せたようなまさに白い山である。ロープウエイでエギュイーユ・デュ・ミディ3842mに上がると、モンブランはもとより周りの針峰群や氷河の雄大な光景が360度に渡って広がる。モンブランから北東に伸びるシャモニー針峰群、ヴェルト、シャルドネといった4000m級の山塊に、シャモニー谷を挟んで北西側に30000m弱の赤い針峰群が対峙する。これらの山麓に多くのハイキングコースが設けられている。山麓といっても標高は2000 - 2500mほどでかなり高い。ハイキング道はよく整備されており、雄大な景色を見ながら歩くのはとても気持ちがよい。
  エギュイーユとはもともと針のことで、この辺りの山は鋭い先端を持つものが多く、モンブランなど少数の例外を除き山といわずほとんどこの名で呼ばれる。日本語では針峰と訳すが、これを付けるとなんとなく石柱のようでバルキーな山という感じがしない。また日本人には極めて発音しづらく、表記も長くなるので、ミディを除き省略名で呼ぶことにする。例えばシャルドネは正式にはエギュイーユ・デュ・シャルドネである。
  シャモニー谷の標高はおよそ1000m、アルジャンティエール辺りで少し高くなって1250mである。この谷にはフランス国鉄でも入ることができるが、ジュネーブ空港から乗り合いタクシー(バス?)を使うのが安上がりで時間もかからない。日本からインターネットで予約もできる。谷の中の移動は頻繁に走っているバスが便利である。しかし路線が複雑で、改定が多いのであろうか時刻表もあまり当てにならなかった。国鉄は定期補修中とかでシャモニーより先は運休していた。観光大国のフランスだが、日本ほど客には親切でない。
 
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00 シャモニーからエギュイーユ・デュ・ミディに2段のロープウエイで上がる。最後は垂直かと思うほどの急角度で上がっていく。強風で運休になることもしばしばある。 01 展望台から眺めるモンブラン山頂。 02 グランドジョラス4208m。
03 北東方面を眺める。手前がシャモニー針峰群、雲が架かっているのがヴェルト、その後ろがシャルドネ、遠くトゥールも見える。 04 対岸の赤い針峰群。低く見えるが、見ているこちらが高いのであって、これでも最高峰は2965mある。 05 ミディからイタリア領のエルブロンネ3462mにロープウエイが架かる。何故かゴンドラを3基連結して運行する。ここも強風などで度々運休し、2度目の訪問でで漸く乗れた。ゴンドラの中からだが、ここの景色は抜群。
06 メールドグラス氷河の先端部。向いはドリュー3733mとヴェルト4122m。 07 地図は持っていてもフランス語で何と発音するか分からない。中央左の山がドロワト4000m、右手に伸びるのがタレーウル氷河と後で知る。 08 グランドジョラス。手前に尖っているのがダン・デュ・ジュアン。これなら針峰の名にふさわしいと思うが、逆にこれにはdent-歯という名が付いている。
09 モンブラン・デュ・タキュル4248mの岩壁の横を通る。工事中のためエルブロンネに降り立つことができず、乗ったままミディに引き返す。都合1時間程度の周遊。 10 ロープウエイで途中駅のプラン・ド・レギュイーユ2310mに降りてくる。後ろはボソン氷河。 11 ここからモンタンベール1913mに向かって歩く。ドリューとヴェルトに相似形のような面白い岩がある。
12 シャモニー針峰群の下をほぼ水平に道は続く。 13 モンタンベールに近づくと道は登りになる。板のような岩が積み重なった道を喘ぎ喘ぎ登っていくと突然正面にドリューが顔を出す。これは感動的であった。 14 氷河の縁に出てドリューを間近に見る。ここからのドリューがヴェルトに邪魔されず一番美しい。モンタンヴェールはすぐそこ、登山電車でシャモニーへ降りる。
15 別の日、再びモンタンベールに登山電車でやってくる。今回はメールドグラス氷河に降り立つ。正面奥に見えるのはグランドジョラス。 16 ナンブラン氷河から融け出た水が滝となって壁面を落ちる。ここからレ・プラへ森の中を下る。 17 シャモニーの町からブレヴァン2525mを見上げる。ここには2段のロープウエイで上がる。
18 ブレヴァンからフレジェール1877mに向かって歩きだすと直ぐに急な斜面を下ることになる。梯子がかかっているがかなりの高度感だ。 19 ハイキング道には所々にまだ残雪があり、斜面では安全のため軽アイゼンを着ける。右奥はシャルドネ。 20 ロープウエイの途中駅プラン・プラ1999m付近まで降りてくる。ここから赤い針峰群の真下をほぼ水平に長く道は続き、フレジェールに至る。ロープウエイでレ・プラに降りる。
21 再びフレジェールに上がり、ラックブランを目指す。白い湖である。この日は霧が濃く、湖に着いて漸く僅かな切れ目から日が射す。 22 ランデックス2385mに上がり、赤い針峰群に迫る。このころにはすっかり晴れた。リフトでフレジェールに戻る。 23 3度フレジェールに上がり、今日はモンロックまで歩く。少し行ってフレジェール小屋を振り返る。
24 シャモニー針峰群の全容。左からグレポン3482m、ブレティエール3522m、プラン3673m。右奥はエギュイーユ・デュ・ミディ。 25 かなり高い壁を何基もの梯子を使って降りる。 26 シャルドネ3824m。今日は天気が良く、対岸の山々がくっきり見える。
27 トゥール氷河とトゥール3542m。モンロックはもうすぐ。 28 2段のロープウエイでグラン・モンテに上がる。眼下にはアルジャンティエール氷河が流れる。左がシャルドネ、右がアルジャンティエール3902m。 29 アルジャンティエール氷河は長く伸びる。突当りの山がモンドラン3823m。氷河先端には途中駅ローニャンから歩いてすぐ。時々雷のような轟音とともに氷が崩れる。
30 レ・プラの教会から眺めるドリュー。かなり待ったが雲がなかなか取れない。 31 ズームで寄る。 32 バスでル・トゥールまで行き、ロープウエイとリフトでバルムのコル2191mへ上がる。赤い針峰群のはずれレンクレナ2887mが谷の向こうに見える。
33 バルムの頭2321mを一周するコースは花が一杯。向こうの山は左がヴェルトとドリュー、右がモンブラン。 34 シャモニー針峰群を従えたモンブランが美しい。 35 ここはスイスとの国境線。登山道は国境線を越え、一度スイス領内に入る。一周してコルの手前で振り返る。

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